恋愛探偵の中村千花です。
恋愛というのを題材に語らせていただいてナンですが、
子供の頃からずっと『異性としての魅力って必要?』
って思っているところがあります。
よく『男として』『女として』という言葉を目にしますが、
男とか女とか以前に人として魅力がないと、
その人は素敵じゃないんじゃないかと心の奥底で思っていたりすんです。
だって、異性からモテる人であるのに、同性の評価を合算してみたら
それほど評価が高くないとなると、その人は実は魅力はないんじゃないかと
考えてしまうんですね。
言ってしまえば、異性の気を引くって
そんなに難しいことじゃないんですよね。
けれども、性的なアピールって、長くは続かないものなので、
その人と共に人生を歩んでいこうと思ったら
『男として』『女として』とかって二の次になるのではないかな。
結局は人としてどれだけ魅力的か、
それが一番大切なんじゃないかと思います。
そして、その人を魅力的と感じる部分は
人それぞれ違っていいんだと思います。
今日のクライアントさんは、
そんなことを考えさせられたNさんという男性からのご相談です。
クライアントNさんからの相談
私は今32歳ですが、「あなたは子供っぽい」と言われて、
告白前に好きな人にフラれました。
昔から精神年齢が低いとは言われていて、
自分と話が合うのは、同年代よりも
20代前半くらいの相手です。
アイドルやアニメが好きだったり、
そういう感性が10代や20代との方が合うので、
一緒に遊んでいても楽しいです。
ただ、会社や周囲になじんでいない感覚はあり、
すごく息苦しくて会社に行くのが辛いです。
キャリアの割には一人だけ言動が幼稚だという自覚もあって、
社内で浮いていることもすごく嫌です。
人づきあいもうまくできなくて、人が嫌いになりました。
実家暮らしなのですが、親は鬱々としている私を見て、
会社など辞めてしまえと言います。
せっかく10年も勤めた会社なので辞めたくないし、
この生きている実感がないところから
脱出したいのですが、何か方法はないでしょうか。
話を整理していきましょう
実年齢に比べて精神年齢が若いってことですね。
いい年齢になって、子供っぽい趣味があるとか、
アイドルやアニメに夢中になっている……。
全然結構なことだと思うんですよ。
周囲に迷惑さえかけていなければ。
私はアイドルやアニメの話は興味ないけれど、
他人からは理解されにくい趣味があるので
おあいこだと思っています。
ただ、このNさんは
自分が子供っぽいことに違和感があるようです。
違和感があるし、ご本人も『生きている実感がない』と言っていますが、
この違和感って、自分らしく生きていないからなんじゃないでしょうか。
自分らしく生きるって何でしょう。
人にはもって生まれた気質があります。
それが、あなたの『個』です。
この『個』を押し殺して、人の価値観や周囲からの評価を気にして生きていると、
違和感を感じるようになります。
「人から嫌われたくない」
「自分の言動をどう思われているか気になる」
「笑われたらどうしよう」
「周りに合わせよう」
といった、いわゆる自意識過剰なコミュニケーションを
取っている人が当てはまりやすいです。
では、なぜそうなってしまうのか、原因はいくつかありますが、
Nさんの場合はご両親に大切に育てられたので
本来の気質や『個』を無視して「いい子」「いい人」と言われる人に
なってしまったのかなぁと思います。
「いい子」「いい人」って、ご両親の思う
「いい子」「いい人」です。
学校の成績も悪くはなく、我を押し通さない、
表立った問題は起こさない、手のかからないお子さん
だったのではないでしょうか。
ご両親の価値観にのっとった生き方が
Nさんの『個』と合致していればいいのですが、
そうではなかったんでしょうね。
『自分の人生を生きる』
好きな女性に振られてしまったことよりも、
『子供っぽい』と言われたことや
今までモヤモヤしていた違和感の方が
Nさんにとっては早急に解決したいことのようです。
その違和感は自分らしく生きていないからだと
言いましたが、Nさんの自分らしい生き方って
一体なんなんでしょうか。
『子供っぽい』って、『主体性がない』とも
言い換えられます。
つまりは精神的に自立していないんですね。
ご両親がNさんの『個』を無視して
「いい子」「いい人」を求めてしまったせいで
Nさん自身が自分を認められていません。
自分の中で親が嫌がる部分はダメなんだと
受け入れられずにいるのです。
Nさんの心がひとつのコップだとしたら、
ご両親からも自分自身からも愛情に乏しく
コップの中の水は満たされていません。
この水があふれるくらいいっぱいになって
人はやっと自立できるのです。
コップの中の水が足りていないのはNさんのせいではないので、
自分のことは責めなくてもいいです。
ただ、水が足りないことに気づいたなら
自分で水を足していきましょう。
その水の代わりになるのが、もしかしたらアイドルやアニメなのかも
しれないですね。
THE 推理
『生きている実感がないところから脱出したい』とのことですが、
コップの水が満たされれば、自然と自立します。
ずっと足りていなかったものに気づいたのだから、
あとは満たす作業をすればいいのです。
単純、単純。
アイドルやアニメに没頭することで満たされるなら
それでもいいと思います。
ただ、これは予想ですが、Nさんは自分が思う以上に
お仕事が好きなんじゃないかな。
お仕事にもっとちゃんと向き合っても
いいかもしれませんね。
また、コップの水が足りなかったんだということに
気づくだけでも、なぜかストンと腑に落ちるものがあり、
鬱々とした気分は少し晴れると思います。
恋愛探偵よりひとこと
Nさんがコップを満たす作業をするとして、
コップの水があふれたら、
今度はNさんが愛情の足りていない人たちに
水を与えてあげてくださいね。
「欲しい、欲しい」だけではなく、
誰かに何かをしてあげたいと思ったり
与えたいと思えるようになったら、
それが大人になったということではないかと思います。
今回は恋愛相談というよりは、人生相談でしたが
恋愛と人生って密接に関係しているので、
恋愛から人生を紐解いてみるというのも
今後続けていきたいと思います。